2020年4月21日火曜日
コロナウイルス少し前の記事ですが、非常に示唆的だと思っています。紹介します。
台湾政府初の「デジタル大臣」の唐鳳さんが語るのは、自分の理解では、IT技術、IT社会の変化についてですが、広く、変化と人間、個人と社会について考えるきっかけになっています。
とくに新型コロナウイルス によって、現状様々な変化を余儀なくされ、変化、ある種の災害に直面している今こそ、社会でも、個人でも、一番大切なことについて、ほんとうに大切なことを話しているように思います。
自分が大切だと思う点を二つ挙げます。子どもたち、そして高齢者に関する二つの部分です。そして記事の該当部分を抜粋します。そのあと、記事のリンクを張りますので、興味のある方、コロナウイルスで変化について考えている方、ぜひ読んでみてください。
ひとつはcompetencyということばについて、
「私は、プログラミング教育よりも「素養」(教養)を涵養するような教育を重視すべきだと考えています。「素養」とはもともと「コンピテンシー」を意味しますが、台湾ではこれを「競争力」と訳しました。これは最悪の翻訳でした。コンピテンシーとは「人間が持つ本来の力」です。」
もう一つはIT技術(変化)と謙虚さについてです。
「 高齢者はIT社会で何一つ変わる必要はありません。ITのほうこそ、人間に近くなるように調整されるべきなのですから。」
次に取材記事から該当部分を抜粋します。
――日本では2020年度から小学校でもプログラミング教育が導入されるなど、IT教育への関心が高まっています。
プログラミング教育は、問題を解決するための手段にすぎません。デジタルスキルとプログラミング教育はまったく別のものだということです。プログラミング教育に反対はしませんが、第2外国語の学習と同じで、学んだとしても結果的に使えなくては意味がありません。
私は、プログラミング教育よりも「素養」(教養)を涵養するような教育を重視すべきだと考えています。「素養」とはもともと「コンピテンシー」を意味しますが、台湾ではこれを「競争力」と訳しました。これは最悪の翻訳でした。コンピテンシーとは「人間が持つ本来の力」です。台湾ではこれまで「競争力」を重視するかのような教育が行われてきましたが、現在では「素養」を重視するように教育方針が変わりました。自発的で、ともに助け合い、共通の利益を求めるという3つの要素を重視する教育への転換です。日本の教育政策の方向性は正しいと思いますが、台湾ほどのエネルギーは発していないかもしれません。
――ITが普及・深化する一方で、「デジタルデバイド」の問題が残ります。例えばITに慣れない高齢者と若者、また都市と地方との格差は解消しますか。
ITの目標は、人間の自然な生活に近づいていくことです。逆にいえば、人間社会がデジタル技術に合わせる必要はありません。例えば高齢者の方がキーボードで入力できないというなら、タッチペンで書けるようにすればいい。VR(仮想現実)でいろんなことが体験できるようにすれば、学習曲線といったものはなくなります。
デジタル技術はもっと謙虚であるべきです。人間に寄り添い、多くの人間が技術の恩恵を受けられるようにすべきです。1位になれ、トップを目指せ、という技術競争を追求してそれについていけない人を生み出すのではなく、どのような技術がどれだけの人を取り込めるかを考えることが重要です。
ですから、高齢者はIT社会で何一つ変わる必要はありません。ITのほうこそ、人間に近くなるように調整されるべきなのですから。
記事へのリンクです。
インタビゥー全文
天才プログラマーの名声を得て15歳で起業。38歳の若きデジタル大臣が語るデジタル行政の最前線とは。
インタビゥー抜粋記事
台湾の「38歳」デジタル大臣から見た日本の弱点
https://toyokeizai.net/articles/-/327954?page=3
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